スペースダンス・デザインワークショップ

スペースダンス・デザインワークショップ1-7

■目的

私たちは、身体-空間・モデルを使用した『アパロス – 私の<分身>としてのAIロボット』の開発に挑戦しています。

この挑戦は、「姿勢の進化史・流体家具アパロス・秘書ロボットアパロス・ロボットスーツアパロス・ヒューマノイドアパロス・宇宙に送るアパロス」をイメージ(映像)として、また「秘書ロボットアパロス」をネット上のバーチャルロボットとして、さらに「流体家具アパロス・ロボットスーツアパロス・ヒューマノイドアパロス・宇宙に送るアパロス」をリアルロボットとして開発する試みです。

そして、このような試みを通して、これまで存在しなかった新しいデザインの創造に挑戦し、宇宙文化開発に対しても、1重力環境の地球で開発された建築やデザインをそのまま宇宙に持ち込むのではなく、「重力が変化すれば身体が変化し、スペースが変化するため、その変化に応じたデザインが必要になる」という認識のもと、その重力環境に応じた新しいデザインを提案します。

以上の試みを促進するために、大学・デザインスクール・企業のデザイン部門・研究機関等を対象に、ダンス・建築・情報・デザインの4分野によるコラボレーションという形式による『スペースダンス・デザインワークショップ1-7』を実施します。

アパロス – 私の<分身>としてのAIロボット』開発計画は、2004~2006年に東京のJAXAにおいて実施した、JAXAの多関節ロボットを介護ロボットとして転用する為の研究プロジェクトに福原哲郎が代表研究者として参加した経験が元になっています。2018年9月、ワルシャワのコペルニクス科学館において『アパロス』の最初のプレゼンテーションを実施しました。以下は、2004年9月に東京・日本科学未来館で『舞踏家の動きを学習する多関節ロボット~動き・プログラム・ロボット』を発表した際の実演ビデオです。

舞踏家の動きを学習する多関節ロボット
日本科学未来館 2004年9月

■コンセプト

スペースチューブの中では、「身体と空間の親和的関係」が容易に実現されます。

[こどもたちのスペースチューブ体験]

スペースチューブの中で人は身体のバランスを失いますが、スペースチューブを信頼できると、期待をはるかに超える規模でスペースチューブが「身体の新しいバランス」を与えてくれます。その時、人は、少し浮いた状態で、つまり多少の減重力環境において、多様な姿勢創造にトライできます。この身体の新しい体験は、地上での身体活動を促進し、また宇宙の減重力環境での身体支援に役立つため、身体的体験の減少が心配される情報社会において、また宇宙時代を迎えた現代において、興味深く、また有益で、重要なものになります。

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[スペースダンサーのスペースチューブ体験]

私たちは、「スペースチューブの中の人の動き」と「スペースチューブ」の関係を『身体-空間・モデル』として構成し、このモデルによってアパロスを開発します。『身体-空間・モデル』は、身体と空間の親和的関係を表現するためのプログラムです。このモデルに人工知能(AI)が必要な理由は、スペースチューブの中で人が採る全ての姿勢をアパロスに「学習」させ、その姿勢をアパロスに「再現」させ、またその人にとって思いがけない新しい姿勢をアパロスに「開発」させるためです。

[アパロスのイメージ]

このようなロボットは「心をもつロボット」として育てることが可能です。アパロスが学習・再現・開発の能力を更新するたびに、人はアパロスに驚異と親しみを感じ、アパロスとさらに親密な関係に入ります。本人も知らなかった未知で魅力的な身体の動きがアパロスによって開発されるため、アパロスが自分の無意識の願望までを実現してくれるような感覚がしてきます。アパロスも、人による評価を唯一の食物として成長し、その能力の精度を増していきます。

これまでのロボットには、ロボットが人間に力を行使する際の、人間の身体が無意識に発揮する「外部からの強制力に対する反発」を調整する能力が存在しませんでした。そのため、ロボットによる力の行使は人間には一方通行として感じられ、人間の側に本能的な違和感をひき起こしていました。この点が、現在でも介護ロボットが世間に普及しない最大の理由でしょう。しかし、アパロスは、人間の反発力を融和し、違和感を解消できます。これが、人間の反応を内部に取り込み創発的に変化するロボットの新しいあり方であり、その社会的意義は大きいと思われます。アパロスにより、人間が抱くロボットに対する敵意や消極的感情を大幅に緩和できます。

こうして、アパロスは、最初に与えられたプログラムを自分で書き換え、人との間に「相互配慮」の形式を流通させるという意味において、「心をもつロボット」として誕生します。アパロスが人のかけがえのない「分身」になるのです。

このようなアパロスが開発され、人間生活の中に浸透するようになると、人間の歴史に存在しなかった全く「新しい生活」が始まります。人は常にアパロスと共に生活し、アパロスに頼って生活を向上させます。複数のアパロスを連結すれば、モノの世界でも新しいネットワークが形成され、モノの全体もまた人間の「分身」として親しい存在になり、人間はモノとの間で新しい会話を始めます。

人は、誰でも、少年や少女時代などのふるさとの家の懐かしい思い出をもっているでしょう。しかし、この時懐かしく家を覚えているのは人間であり、ふるさとの家が人間を覚えているわけではありません。それが、ふるさとの家の方でも人間を覚えていて、この家を訪ねた時に「久し振り。こんにちは」などと返事をしたりすると、どうなるでしょう? 人間にだけ脳という記憶装置があるのではなく、ふるさとの家も独自に記憶装置をもち自立して存在していることになります。

同じく、ふだん使っている私たちのイスが私たちのことを覚えているとしたら? そして、「ワタシはアナタが坐ってくれると嬉しい気持ちになる。でも、今日のあなたの姿勢は少し変ですよ」などと、イスの側でも私たちの姿勢に配慮してくれていることを知ったら、それを発見した瞬間から私たちの家具に対する態度は一変するでしょう。不必要になったからといって、そのような家具を簡単に捨てることも出来ません。これまで以上にモノが大切にされる世界になるでしょう。

このようなアパロスを社会に普及させれば、人間がつくり出すモノによる人工環境を根底から改革できます。

以上の宇宙環境でのデザイン成果は、地上にも還元して利用できます。その一例として、「流体家具」を含む「新世代オフィス」のデザインを追及します。

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[ビルギー大学・ヤサール大学での実施記録 2018-2019]

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[準備] 
アフォーダンスによるスペースダンス

「スペースダンス・デザインワークショップ」の準備として、「アフォーダンス」に基礎をおくスペースダンスについて学びます。スペースダンスでは、ダンサーは自分の動きを自分一人でつくりダンスするのではなく、空間やモノと一体になることで、空間やモノと共にダンスします。ダンスの動きを決定するのは、ダンサーではなく、「ダンサーと空間やモノとの関係」です

[デザインワークショップ1]
4つの部屋


スペースチューブと照明・音・匂い・ビデオカメラ&プロジェクターを使用して、「4つの部屋~バランスと姿勢の部屋 + 光と闇の部屋 + リアルとバーチャルの部屋 + 思索と癒しの部屋」をデザインします。人びとは「4つの部屋」により、スペースチューブをアート・科学・情報・癒しの観点から多面的に体験できます。

[デザインワークショップ2]
ロボットスーツアパロスのイメージ


スペースダンス練習の成果を生かし、「ロボットスーツアパロス」をデザインします。「ロボットスーツアパロス」はダンサーの身体のバランスを奪いますが、ダンサーが身を委ねることで、ダンサーに「新しい姿勢創造」の機会を与えるスーツです。そして、「ロボットスーツアパロス」は、AIプログラムを搭載した『身体-空間モデル』の効果により、私たちの動きを<学習>し、<再現>し、私たちの無意識に眠る願望を顕在化したような思いがけない新しい動きを<開発>します。

[デザインワークショップ3] 
姿勢の進化史の映像化

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MASK; Joanna i Maciej Biegansky

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スペースチューブの中では、母親の胎内に帰ったかのような懐かしい感覚を体験でき、私たちが遠い昔動物だった頃の記憶も含め、失った多様な記憶を回復できます。スペースチューブの中で記憶の回復を促進させる、時には大変奇妙な動きをするダンサーに焦点を当て、「魚・両生類・四足動物・鳥・サル・人間から構成される姿勢の進化史」を映像としてデザインします。

[デザインワークショップ4] 
余剰次元のイメージ

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Image of Surplus Dimension

スペースチューブの内部では、中央部分に美しい「境界」が空間として形成され、そこから「失われた動物たち・死者たち・異星人たち」が出現するような、幻想的な感覚を味わうことが出来ます。理論物理学者リサ・ランドールの余剰次元論を参考に、私たちの四次元世界と余剰次元の構造的関係について考え、余剰次元に住むさまざまな存在について空想的にデザインします。

[デザインワークショップ5]
流体家具のイメージ

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MEF University; Sami Yucel, Berra Bay

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スペースチューブの中でダンサーと可塑的イスとのコラボレーションを実施し、スペースチューブも可塑的イスも人も一体になったかのような「流体家具」をデザインします。「流体家具」は、親和性の過度の増加によるヒトとモノが一体化したイメージとして表現されますが、「立つと坐るの<間>」と「坐ると寝るの<間>」に新しい姿勢を形成できる機能をもち、イスでもあり同時にベッドであるような「新しい家具」としてデザインされます。

[デザインワークショップ6]
減重力環境の月と火星における居住空間

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MEF University; Alparslan Turan, Aybike Senkaya, Hayrunnisa Bilgin

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MEF University; Merve Akdogan

近い将来に人間が月と火星での居住を開始する事態を想定し、「減重力環境としての月と火星での居住空間」をデザインします。地球が1重力環境であるのに対して月は1/6重力、火星は1/3重力で、月と火星では身体自体が大きく変容することが想像されます。例えば、無重力環境では身体は完全に浮いてしまい、歩行は不可能です。そのため、この状態を何年も続けていれば、歩行のために必須だった足は不要のため退化を始め、やがて消失するか、或いは新しい手に生まれ変わっていくかも知れません。このように、大きな変容が予想される身体の為には、どのような家具や居住空間が日々の生活に必要になるでしょうか? 地球で1重力下で育った身体のためにデザインした家具や居住空間は、宇宙ではそのままでは使用できないことは間違いないでしょう。以上について想像しつつ、重力環境の変化に応じた新しい居住空間のデザインに挑戦します。

[デザインワークショップ7]
新世代オフィス

以上のデザインワークショップ1-6の経験を生かし、スペースチューブのコンパクト形態としてのスペースキューブを構想し、グーグル・ヤフー・マイクロソフトなどで働く主として若い世代のための「新世代オフィス」をデザインします。スペースキューブがオフィスや家庭にあれば、大人も子供も毎日容易にスペースチューブ体験ができます。また、日常的に身体的体験を必要とし、仕事のオン・オフにも区切りをつけたい現代の若い世代には、オフィスにスペースキューブがインテリアの一つとして常設されていれば好都合で、退社後に他のトレーニングジムに行く必要もなくなります。

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